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第103回 中 勘助『銀の匙』

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(今週の写真:untitled )

言葉の響きの美しさ。
細やかに描かれる子どもの世界。
淡々としかし豊かに進む物語は、
心の襞を鮮やかに映し出す。

いまもおりにふれて取り出しては、
丁寧に拭ってあかず眺めるという銀の小匙。
それは爪立ってやっと手のとどく子どもの頃、
なかなかあけられなかった茶箪笥の抽匣にみつけたものだった。

『銀の匙』は中 勘助が幼少年期の思い出を綴った自伝的小説である。
その前篇が書かれたのは明治44年(1911年)のこと。
それまで詩歌を愛した中 勘助だからこそ、
独特の言葉の美しさが横溢しているのであろう。

夏目漱石はこの作品を
「子供の世界の描写として未曾有のものである」と賞賛した。
ここには伯母さんや家族との暮らしも、
子ども同士の遊びも友情も恋も確執も、
教師や周りの大人との関わりも、
自意識も成長も憂鬱も、
死や旅立ちもが描かれる。

『銀の匙』の世界はかつて少年だった私の心に響いて鳴り止まない。
時代は違えども心の感じる様は営々として変わるところがないのだ。
これからもおりにふれて取り出しては読み返したいと思う。

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by takeuchi-cl | 2015-06-22 09:00
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