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第125回 筒井康隆『最後の喫煙者 自選ドタバタ傑作集1』

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(今週の写真:Love padlocks)

筒井康隆の『最後の喫煙者 自選ドタバタ傑作集1』。
これは非常に毒性が高い短編集だった。

本書には9編の作品が収められる。
最初から嫌いな作品から言ってしまおう。
最も嫌いなのは『問題外科』。
ブラック、オカルト、グロすぎで、「最悪!」の一語に尽きる問題作。
読んでいて辛いほど。だけど最後まで読んでしまった。
もう二度と読み返したくない。だけどハマる人にはハマるのか…

逆に一番面白かったのは『ヤマザキ』だ。
備中高松城を包囲していた羽柴秀吉が、本能寺の変を受け急きょ毛利軍と講和し、
明智光秀と対峙する山崎の合戦に向け、急ぎ取って返す過程を描いた歴史作品である…
はずが、あれよあれよという間に破茶滅茶、支離滅裂のコメディへと変貌する。
これぞナンセンス。やられた感満載の圧巻である。

この他はというと、
・時間が加速度的に暴走する『急流』
・禁煙運動が差別、脅迫、襲撃、弾圧へと激化した社会を描いた表題作『最後の喫煙者』
・かつてのジャングルの王者ターザンの変わり果てた姿を描くパロディ『老境のターザン』
・寄生虫を背負って知能を増した天才たちを取り巻く社会を描いた『こぶ天才』
・ある会社員の童貞喪失にまつわる妄想と興奮が炸裂するドタバタコメディ『喪失の日』
・無限に同一の世界が繰り返される平行世界で違うおれと出会うSF傑作『平行世界』。
・桜田門外で斬られた井伊直弼の首をめぐって、なぜかラグビー決戦が始まる『万延元年のラグビー』

どの作品も独創的で、毒あり、グロあり、笑いあり。
けれど、だからか、やみつきになる筒井康隆の粒不(!)揃いの問題の傑作集。
不快と毒を覚悟でそれでもって人は、どうぞ。


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by takeuchi-cl | 2015-11-23 09:00
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   タケウチマサトモ


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