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第154回 橋本和明『虐待と非行臨床』

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神話や昔話にも虐待の話がある。虐待の問題はそれほどに根源的な問題だといえる。現代においても虐待や非行が大きな社会問題であることは間違いない。誰しもが虐待や非行と無関係ではいられないはずだ。

虐待が子どもに与える影響は深刻なもの。本来子どもは親から愛されて信頼や人格を形成するはずなのに、世の中で一番に愛されるべき親から虐待を受けるのだから。年齢が低いほど大きな被害を与え、大きな傷となって様々な病理や不適応行動となるのも当然といえる。

この本は、家庭裁判所調査官である著者が虐待と非行との関係と道筋をより深く探ったものである。豊富な事例を取り上げて虐待と非行の関係を明確にした。またグリム童話を取り上げて、虐待のむかう方向性についての考えを提示する点はユニークである。

本書では非行を「虐待回避型」「暴力粗暴型」「薬物依存型」「性的逸脱型」の4つに分類する。それぞれの虐待との関係と、虐待が非行に向かうプロセスを説明する。親の虐待と子どもの非行が悪循環に陥ると加害と被害の立場が逆転し、虐待の反復と非行のエスカレートによって深刻さが増していく点を指摘する。糸が絡むように複雑になった親子関係は修復が非常に困難となる。

本書で述べられる虐待と非行のメカニズムの理解こそが、虐待からの脱出と非行からの立ち直りの末に親子関係が修復へとむかう物語に必要な鍵といえる。


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by takeuchi-cl | 2016-06-13 09:00
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