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第211回 「007」

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最近、ボンドにはまっている。(木工用のそれではなく)言わずと知れた「007」シリーズのジェームズ・ボンドである。ぼくは生まれてこのかた、007の映画を一度も観たことがなかった。やたらダンディで美女にモテる凄腕のスパイが秘密兵器を駆使して悪と戦う的な映画であろうことは想像していたが、実際に観てみようとは思わなかった。それが最近はAmazon Primeのおかげで映画をみることが増えた。なんといっても見放題だから気軽だ。そんなわけで、Amazonビデオの映画タイトルを眺めているうちに、白いジャケットに蝶ネクタイで腕を組んでるダニエル・クレイグが目にとまり、シリーズ第24作『007 スペクター』を観たのが「007」に触れたきっかけである。

『スペクター』でジェームズ・ボンドを演じるダニエル・クレイグ。最初はあんまりかっこいいと思わなかった。だって2枚目って感じじゃないし、爬虫類系でむしろ顔が恐い… でも、それが、観ているうちに、あら不思議。印象が変わってきた。かっこいいのだ。寡黙でタフなところが、とてもかっこいい。鍛え上げられた体。着こなすスーツ姿に痺れるのである。ちなみに『スペクター』のボンドのスーツはあのトム・フォードである。ボンドのスーツ姿は男の永遠の憧れだというが、それは確かにかっこよかった。

しかしながら、2005年に6代目ジェームズ・ボンドにダニエル・クレイグが抜擢された当時は、かなりバッシングを受けたようだ。アンチサイトもできたとか。シリーズ初の金髪のボンドで、長身の歴代ボンド俳優に比べて背も低く(といっても178cmあるのだが)マッチョで、これまでのイメージと大きく異なったようである。ぼくはこれまでの007シリーズを観ていなかったからそれを知らなかったが。それがボンド役初演の『007 カジノ・ロワイヤル』で原作のイメージに近いボンドを完璧に演じきって、前評判を覆したという。この作品はシリーズ最高の興行収入を記録し、後に『007 スカイフォール』でその記録を更新。一時は降板を仄めかしていたダニエル・クレイグだが、ほんのつい最近、「007」シリーズの次新作も続投することに合意したと、報道があったところだ。

それで『スペクター』から遡ってダニエル・クレイグの一連のシリーズを観てみた。『007 スカイフォール』、『007 慰めの報酬』、『007 カジノ・ロワイヤル』という具合に。しかし、これは失敗だったことに後に気づく。

『スペクター』の冒頭はあの名シーン。白いドットが現れ、ライフルの銃身(gun barrel)の中から覗いた形になり、その中を左に向かって歩いてくるボンドが、こちらに向きをかえて銃を撃つ。すると上から血が流れ落ちてくるという、ガンバレル・シークエンス。007シリーズのオープニングを飾るあの映像である。流れるのはお馴染みの「ジェームズ・ボンドのテーマ」。このガンバレル・シークエンスは第1作『007 ドクター・ノオ』から始まり、少しずつ形を変えながらも踏襲され続けてきた。

ところが、ダニエル・クレイグが初演した第21作『カジノ・ロワイヤル』では、おきまりのシークエンスは変更されることになる。冒頭シーン。画面向うむきに銃を拾うボンドに、起き上がった男が銃で撃とうとした瞬間、ボンドが振り返り銃を発射する。その瞬間がガンバレル・シークエンスの構図になる。しかし、これまでと違ってあくまでオープニングシーンの一部に過ぎないのであった。続く22作『慰めの報酬』でも、23作『スカイフォール』でも、ガンバレル・シークエンスはオープニングではなくエンディングで登場することになる。ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドでは、この演出が従来踏襲されてきた作品とは大きく変わっていたのだ。それが最新の24作『スペクター』で再びオープニングに戻り、往年に近いスタイルに戻ったのである。

こういうことは、公開された順に続けて観ていたらもっとわかりやすかったはずだが、ぼくは後からやっとわかった。それに21作の『カジノ・ロワイヤル』と22作『慰めの報酬』はシリーズ初の続編となっていて、話が繋がっている。だから逆から観ていたぼくは反省したのだった。それでやっぱり最初から観ようと覚悟を決めて(やっぱり長いので…)、一気に遡って第1作の『007 ドクター・ノオ』を観た。公開年は1962年。もちろんぼくの生まれる前だ。そして初代ボンドは名優ショーン・コネリー。ダンディである。当時若かったショーン・コネリーは、この役作りのためにスーツを着て寝たんだとか。ぼくもやってみようか、いや、やめよう。しわになる。ちなみに、プライムで見放題だったのは『スペクター』だけで、あとは有料レンタル、『ドクター・ノオ』はレンタルもなくて購入だった。Amazonにいいようにやられている。でも、後悔はしてない。

歴史の長いこの作品群にあっては、お約束の名場面というのがいくつもある。例えば、"The name is Bond. James Bond."(「ボンド。ジェームズ・ボンド」)と名乗るシーン。例えば、"Vodka martini. Shaken, not stirred."(「ウォッカマティーニを。ステアせずシェイクで」)とカクテルを注文するシーン。これらの台詞も第1作の『ドクター・ノオ』から使われる、ボンドファンならお約束の台詞だ。ぼくもにわかにこの辺りが飲み込めてきた。ちょっと説明しておくと、マティーニは本来はジンベースのカクテルだ。ボンドはこれをスッキリした味わいのウォッカベースにして、かき混ぜるステアではなく、シェイカーでシェイクしてというこだわりなのだ。より冷たく、かつ空気が混ざってふわっと爽やかな飲み口に仕上がる。いつかいつものバーで頼んでみたい気もするが、すぐに「ジェームズ・ボンド気取り」がバレそうでこわい。きっとよく知られているんだろう。こんなことも、第1作に戻ってみたからわかったことであった。

『カジノ・ロワイヤル』はイアン・フレミングの長編第1作目の原作に比較的忠実に映画化されているようだ。注文したマティーニをステアするかシェイクするかの問いに、ボンドは「どっちでもいい」と答えるシーンがある。まだそこまでのこだわりがなかった頃のことだ。オープニングもいつもとちがう。つまり、殺しのライセンスである「00」(ダブル・オー)ナンバーを取得していない「007」になる前から物語が始まっていることを暗示しているわけだ。この作品ではボンドが愛したヴェスパーという女性がでてくる。いわゆるボンド・ガールである。ヴェスパーを演じるエヴァ・グリーンがまたとびきりの美人だ。ボンドはヴェスパーを愛し、スパイをやめて結婚しようとまでするのだが、結局はヴェスパーはボンドを裏切って死んでいく。ボンドはその後は心を開くことのない本当の「007」になった。そしてラストでは敵の黒幕ミスター・ホワイトを追い詰めたボンドが名乗るお約束の台詞。"The name is Bond. James Bond." そしてオープニングでは流れなかった「ジェームズ・ボンドのテーマ」が流れてエンディングを迎える。『カジノ・ロワイヤル』の終わりに007が誕生するというわけである。そして話は『慰めの報酬』へと続き、そのエンディングでガンバレル・シークエンスが出てくる。それから『スカイフォール』を経て、『スペクター』で往年のスタイルに戻る。

こういうことがやっとわかってきて、なるほどねぇと思うわけである。次は第2作『007 ロシアより愛をこめて』を観てみたい。007シリーズ制覇の道のりは長い。

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by takeuchi-cl | 2017-07-17 09:00
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